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DNA/RNA中の電子移動速度を1分子測定 ―PCRを必要としない、1本のDNA/RNAを1分子検出・診断する新技術―

2022年9月 5日
プレスリリース
修文大学
タイトル

概要

大阪大学産業科学研究所の川井清彦准教授、大学院生のFan Shuya(ファンシュヤ)さん(工学研究科博士後期課程)、藤塚守教授らの研究グループは、修文大学健康栄養学部、専門病理医の川井久美教授、東京工業大学生命理工学院の丸山厚教授、名古屋大学未来社会創造機構の夏目敦至特任教授らとの共同研究で、DNA中を電子が長距離移動する速度を1分子で測定する手法を開発し、病理標本上でmRNAの点変異を1分子その場診断することに成功しました。PCRのような時間とコストを要する情報の増幅を必要としない、迅速なDNA/RNAの1分子分析・診断法への展開が期待されます。

◆詳細(本文)はこちらから(PDF)

20220901_coi-thumb-980xauto-4166.jpg 図1:正常な配列(上)だと、電子がゆっくり移動。変異があると、電子が速く移動。電子の移動速度を点滅としてそのゆらぐ速さから1分子測定し、点変異を診断。

研究成果のポイント

  • DNA中の電子移動速度を1分子測定
  • 電子移動速度の違いから、病理標本上でmRNA中の点変異を1分子診断
  • DNA/RNAの1分子検出・診断が可能に

特記事項

本研究成果は、2022年9月1日(木)午前1時(日本時間)に米国科学誌「Chem」(オンライン)に掲載されました。

タイトル:"Electron transfer kinetics through nucleic acids untangled by single-molecular fluorescence blinking"
著者:Shuya Fan, Jie Xu, Yasuko Osakada, Katsunori Hashimoto, Kazuya Takayama, Atsushi Natsume, Masaki Hirano, Atsushi Maruyama, Mamoru Fujitsuka, Kumi Kawai, and Kiyohiko Kawai
DOIhttps://doi.org/10.1016/j.chempr.2022.07.025

なお、本研究は、キヤノン財団研究助成プログラム「産業基盤の創生」、JSTさきがけ、独立行政法人日本学術振興会(JSPS)の科研費「新学術領域研究(16H01429)」「基盤研究B(17H03088)(21H02059)」「挑戦的研究(萌芽)19K22256)」、文部科学省(MEXT)の「人・環境と物質をつなぐイノベーション創出ダイナミック・アライアンス」の一部として行われました。


【研究者】
健康栄養学部管理栄養学科 川井 久美 教授
医療科学部臨床検査学科  橋本 克訓 講師

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